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電子回路シミュレータ LTspice IV

私は「ラジオ少年」と呼ばれた、おそらく最後の世代じゃないかと思います。 (身近に「ラジオ少女」はいませんでした。なんでもないです。) 小学生の頃は、「ラジオの製作」などの雑誌に載っている回路図(実体配線図!)を見て、ラジオや発信器などを作っていました。 もちろん小学生ですから、原理などわかるはずはありません。 ただ本に書いてある通りに部品を集め、ハンダ付けしていただけです。 後の世代は興味がデジタル回路に移っていったと思います(オーディオの方は別でしょうが)。

大人になってから、回路を理解したい、自分でも設計できるようになってみたいと思い、いくつも本を買ってはみたのですが、まったく理解できませんでした。 「バイアスってなんだ・・・わからん」、「この抵抗の値はどうしてこの値なんだ・・・わからん」という具合です。 もともと本を集中して読むのが苦手で、たいてい途中で投げ出してしまうか、勝手に内容を脳内ねつ造するか、読むとしても人の何倍もかかるんです。 Hoare 論理の本も、CSP の本も、読み始めてからなんとなくわかってきたかなという段階に至るまでに10年くらいかかってるんです。 SICP もまだ読んでる途中くらいの感じです。第1版から持ってるんですけどね(ちょと自慢)。 加えて、妙なところに引っかかり、つまずいてしまいます。 電気回路の本って、交流を扱うのに複素数を使うじゃないですか。あれが頭に入らないんです。 そんな作為的なことしていいのかなと気になります。 足し引きしているうちはいいんですけど、おいおい、掛けちゃうのか、それ、いいのか、と思ってしまいます。 しかも虚数単位が j だし。 もうこうなると内容はそっちのけです。 (ちなみに相対論の本の中にはミンコフスキー空間での距離を表すのに虚数を使うものがあるじゃないですか。あれも受け付けられず、脱落しました。)

あるとき、米田 聡さんという方が書かれた「電子回路の基礎のキソ」という本に出会いました。 また懲りずに新しい本を買ったんです。 この本がいままでと違うところは、電子回路シミュレータを使って説明されているところです。 驚いたことに、実際にシミュレータを動かしながら読んでいくと、いままでわからなかったことが次々とわかるのです。 これにはほんとわくわくしました。 1テーマが基本見開き2ページに書かれていて、リズムよく進められるのもわかりやすい理由の1つでした。 でもそれ以上に、手を動かすこと、いろいろとパラメータを代えて試せることが大きいように思いました。 わかってくると不思議なことに、本に書いていないこともいろいろ思いつきます。 「こうしたらどうなるんだろう」、「こういうことはできないだろうか」、という思いつきをどんどん試せるんです。 シミュレータはすごいなと思いました。 こういう環境をプログラムのためにも用意したいなと思ったのです。

本の中で使われているシミュレータは、リニアテクノロジー社の LTspice IV というものです。 詳しくは米田さんの本、またはリニアテクノロジー社のホームページでどうぞ。

図は電流帰還型増幅回路のシミュレーションの様子です。 位相は反転、増幅率は3倍です。楽しい。

2013/08/16
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